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破折の診査・診断

歯根破折歯の診査・診断

歯根の破折部位をデンタルX線で診断できるのは、破折方向と照射方向が一致した場合、すなわちデンタルX線の照射方向である唇(頬)舌方向の破折に限られます。さらに、根管内にメタルポストがある場合には、デンタルX線での歯根破折の診断は無理なことが多いです。

したがって、この診査はメタルポストの除去を行うべきか否かの判断を下すための治療前段階での診査となります。そこで、多少なりともデンタルX線による検査精度を上げるのが偏心投影であります。デンタルX線検査は、歯槽硬線の消失、歯根膜腔の広がり、歯槽骨吸収を透過像で検査する手法でありますが、歯根破折の検査では、正中投影に加え、必ず偏心投影を行うべきであります。偏心投影によって、根管歯質からポストが剥離された状況や、歯根面に広がる歯根膜腔の拡大などにより歯根破折の予測ができることがあるからです。

デンタルX線検査が一般化した現在は、この偏心投影が簡単に行えるので助かっています。また、症例によっては、破折を疑われるポケットにガッタパーチャポイントを挿入してデンタルX線検査を行う方法もありますが、歯槽骨破壊が進行した症例では、ポイント挿入の深さと破折線の深さが必ずしも一致しないため注意を要します。

リスク診断のためのデンタルX線

歯根破折の直接の原因の多くが不適切なメタルポストであることは述べましたが、メインテナンス受療者には、デンタルX線像を提示して、歯根破折が懸念される歯に対してリスクの説明を行い、早期対応が保存治療を用意にすることについて、あらかじめ説明しておきます。

歯根破折は、応力集中による歯根部亀裂から徐々に破折に進行することが多いです。このため自覚症状は少ないので、長期に放置され、歯槽骨破壊が大きく進行してしまいます。歯根破折を主訴に来院した受診者以外では、自院のメインテナンス来院時に行うルーティンのデンタルX線治療のなかで、歯根破折のリスクを患医双方で把握しておくことが大切です。

歯根破折歯の治療は、早期に対応できればさしたる困難もありませんが、歯槽骨破壊が大きく進んだ状態では、当核部分の骨再生が難しいために保存はより困難になります。早期対応のためには、定期来院による診査の重要性を強調すべきであります。

プローブによる診査

歯根破折の初期病変は、細くて狭い範囲での歯根膜ないしは歯槽骨破壊であるため、既製のペリオプローブは太すぎて入らないことがあります。また、湾曲した歯根の場合も、金属製のプローブは入りません。そこで、弾性があり、細い湾曲したポケットにも挿入できる根管充填用のガッタパーチャポイントを使用しています。

また、ペリオプローブが入るような歯周組織破壊が大きく進行した症例については、深さだけではなく、横方向への傾斜と移動量も測定します。その移動量により、歯槽骨破壊の大きさを診査することができます。

ガッタパーチャポイントあるいはペリオプローブが深くまで入り、横方向には動かない場合は、歯根破折が疑われますが、横方向へも動く場合は歯周病との選別が必要になります。

一般には、歯周病では水平性の骨吸収が認められるので隣在歯や当核歯の健全側の歯槽骨吸収の程度や歯槽硬線とあわせて観察することで、事前審査の精度が高まります。

マイクロスコープによる診査

歯根破折の治療では、根管の中から直視し、破折部を確認するのが最終的な診断になりますが、これがマイクロスコープを使うことで正確に行うことができます。

マイクロスコープは、診断のみならず治療においても非常に大きな役目を果たしています。

マイクロスコープによる根管内からの視診は、破折様相を明確に診査できることと、その破折様相をその場で画像として記録できるため、受療者への説明に大きく貢献しています。

しかし、メタルポストの除去が診査の全体となるため、十分な情報提供と丁寧な説明が必要で、その手順を踏まないと、”深刻な不信”というトラブルにつながることを銘記すべきです。

すなわち、歯根破折は自覚症状が少ないため、事の深刻さを意識していない場合が大半であるため、状況を理解してもらうことが難しいのです。しかし、マイクロスコープによる画像を提示することで理解してもらえることが多く、助かっています。

  • 01 根管壁を平滑にすることで、破折線が明確になる。根管壁の平滑化には、超音波切削バーを使用する。
  • 02 必要に応じて、破折線を明確にする装飾液を使用する。
  • 03 根管内画像を明確に記録するために、歯科用顕微鏡カメラの明度を上げる。
  • 04 拡大画像に部位名と近遠心、唇頬・したの位置マークを記入する。

CTによる診査

破折形態と骨破壊状況の把握

歯根破折歯を残せるか残せないかの診断は、依然にはデンタルX線検査とプローブによる診査で行っていましたが、デンタルX線像では歯根破折を正確に診断することが難しいことでした。

CBCTの汎用化は、破折歯保存治療に大きな進展をもたらしました。CBCTによる検査を行えば、破折形態だけでなく、破折線に沿った歯槽骨崩壊の進行状況が明確に診断できるため、治療方針の決定ならびに受診者への情報提供が正確に行えます。

つまり、歯槽骨破壊が経度あるいは骨が裂開していない3壁性歯槽骨崩壊と診断できれば、歯根破折部を無菌化するだけで骨の再生が可能となるため、治療は容易になります、しかし、長く放置された場合には歯槽骨破壊が大きく進行するため、歯周病羅患歯と同様の処置が必要となり、その処置内容は歯種や破折形態や歯周組織の破壊状況により大きく変わります。

例えば、唇頬側に限定した一部破折であれば、骨の裂開があった状態であっても、フラップ手術で歯周処置ができるため、治療は比較的容易でありますが、頬舌側に広がるに分割の破折であれば意図的抜歯+再植法の適応となり、治療が難しくなります。また、この場合には歯根膜の損傷状態が術後に大きくかかわります。

このように、歯根破折の治療には破折形態と歯周組織破壊の状況が大きくかかわりますが、CBCTがその診断を用意にしてくれるといえます。破折歯治療におけるCBCT検査では、それぞれ特徴を持ちます。前頭断像、矢状断像、水平断像、ボリュームレダリング像を使い分けて診断する必要があります。またボリュームレダリング像は、受療者にとって理解しやすいという利点があります。

詳しくはこちらの書籍をご覧ください

i-TFC根築1回法による歯根破折歯の診断と治療 眞坂信夫 編著/福島俊士・下野正基・眞坂こづえ 著

定価 12, 960円(本体 12, 000円+税8%)
総頁数:176頁 / カラー
判型:A4判
発行年月:2016年9月

抜歯に至る原因として、垂直歯根破折の占める割合が高くなってきている。歯根破折は自動的に抜歯と診断される
とが多いが、適切な診断と治療技術があれば、保存が可能な場面も少なくない。治療術式の難易度から歯根破折症例を5つに分類し(t y p eM-I~M-V)、それぞれ長期経過を豊富に掲載。根管充填と支台築造を同時に行う「i-TFC根築1 回法」についても、その手技を余すことなく紹介している。

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